「うちの介護施設のホームページは、職員が空き時間に無料の作成ツールで自作しています」——こうした事業所は、実際には珍しくありません。制作会社に依頼するほどの予算をかけられない、まずは存在を示せればよい、という段階であれば、自作という選択は決して間違っていないと感じています。ただし、自作のホームページには、公開してからしばらく経って初めて表面化するリスクがいくつかあります。この記事では、介護施設がホームページを自作する際に起こりやすいリスクと、外注を検討したほうがよいかどうかの判断基準を、現場目線で整理します。

無料ツールでの自作は珍しいことではない

近年は、専門知識がなくても扱える無料・低価格のホームページ作成ツールが増えており、介護施設が自分たちでサイトを立ち上げるケースは実際に多く見られます。開設したばかりで情報量がまだ少ない時期や、まずは事業所の存在をインターネット上で示したいという目的であれば、自作は現実的な選択肢です。コストをかけずに始められる、公開までのスピードが早い、といった利点もあります。

一方で、重要事項説明書や運営規程など、事業所の情報をインターネット上で公開することを求める動きは近年広がってきています(求められる範囲や時期は地域・サービス種別によって運用が異なりますので、詳細は所在地の指定権者や最新の通知をご確認ください)。載せる情報が増えるほど、自作の体制のままで管理しきれるかどうかも、あわせて考えておきたいところです。

介護施設がホームページを自作するときに起こりやすいリスク

自作そのものが問題というより、次のようなリスクに気づかないまま運用が続いてしまうことが、実際の相談ではよく見られます。

  • 更新担当者が異動・退職すると、誰も直せなくなる:ログイン情報や更新手順が担当者一人の頭の中にしかない場合、その方がいなくなった瞬間にサイトが「誰も触れない状態」になります。私自身、作業療法士として介護の現場を20年以上歩いてきたなかで、更新を任せていた職員が異動したあとログイン情報が分からなくなり、古い求人情報を直したくても直せない、というご相談を何度も伺ってきました。
  • スマートフォンでの表示崩れに気づきにくい:作成者はパソコンで確認しながら作ることが多く、スマートフォンで見たときに文字や写真が崩れていても、そのままになりやすい傾向があります。
  • 問い合わせフォームの管理があいまいになりやすい:氏名や連絡先といった個人情報を扱うフォームは、暗号化(常時https)や送信先メールアドレスの管理を意識しておく必要があります。自作の場合、この部分の設定が曖昧なまま公開されていることがあります。
  • 独自ドメインを使わない場合の不安定さ:無料サービスのドメインのまま公開すると、広告が表示されたり、サービスの終了とともにサイトごと消えてしまったりする可能性があります。
  • 求人・料金など、更新が止まった古い情報が残り続ける:自作サイトは、開設時に力を入れて作ったあと、更新が後回しになりがちです。数年前の募集要項や料金がそのまま残っているケースは少なくありません。
  • 医療広告ガイドラインに触れうる表現に気づきにくい:体験談を効果として紹介する表現や、成果を保証するような言い回しは、意図せず掲載してしまうことがあります。詳しくは医療広告ガイドラインとホームページの注意点で解説していますので、自作サイトの文章を見直す際の参考にしてください。

自作が向いているケース

上記のリスクを踏まえたうえで、それでも自作が向いていると考えられるのは、次のような場合です。

  • 開設直後で情報量がまだ少なく、まずは事業所の存在を示すことが目的の段階
  • 施設内に継続して手を動かせる人がいて、更新の担当と手順があらかじめ決まっている場合
  • 掲載する内容が理念・アクセス・スタッフ紹介など更新頻度の低い情報が中心で、料金や空き状況のように誤りが致命傷になる情報が少ない場合
  • 採用の強化や見学予約の効率化といった、達成したい目的がまだ具体的に定まっていない段階

このいずれかに当てはまるなら、無理に外注へ切り替える必要はないと考えています。実際、更新の手が回っている施設では、自作のまま何年も安定して運用しているケースも珍しくありません。大切なのは制作方法そのものではなく、載せた情報を正しい状態に保ち続けられるかどうかではないでしょうか。

外注を検討したほうがよいケース

一方で、次のような状況になったときは、外注を選択肢として検討する時期に来ていると考えられます。

  • 採用や見学予約など、達成したい目的が具体的になってきたとき
  • 更新が半年以上止まっているとき
  • 更新できる担当者が施設内に1人しかいないとき

こうした状況では、自作のまま続けるより、情報の整理や表示の確認を専門家に任せたほうが、結果的に負担が軽くなることが多いように感じています。制作会社への依頼を検討する際の視点は、医療・介護のホームページ業者の選び方でまとめていますので、あわせてご確認ください。

「作るのは外注・更新は自前」という中間の選択肢

自作と外注は、必ずしもどちらか一方を選ばなければならないものではありません。実際には、初期の構築だけを外注し、日々の更新(求人情報や写真の差し替えなど)は施設内で行う、という中間の形も広く選ばれています。

この方法であれば、表示崩れやフォームの設定といった技術的な部分は制作会社が整えたうえで、更新のしやすさを確保できます。全面的な自作でも、すべてを外注に任せきりにするのでもなく、自施設の体制に合わせて役割を分けることが、無理のない運用につながるのではないでしょうか。

まとめ|自作か外注かは、目的とリスクで判断する

介護施設のホームページを自作するかどうかは、単純な良し悪しではなく、目的と体制で判断するものだと考えています。

  • 開設直後で情報量が少なく、更新の担当と手順が決まっているなら、自作は現実的な選択肢
  • 更新担当者の異動・スマホ表示・個人情報の管理・古い情報の放置は、自作で起こりやすい代表的なリスク
  • 採用や見学予約など目的が明確になった段階、または更新が止まっている段階では、外注や「構築は外注・更新は自前」という中間の形を検討する価値がある

今のホームページがどちらに当てはまるか迷う場合は、一度、更新担当者・スマートフォン表示・掲載情報の3点だけでも点検してみることをおすすめします。

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作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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