「自院のホームページ、知らないうちに医療広告ガイドライン違反になっていないだろうか」。クリニックの院長や事務長さまから、このようなご相談をよく伺います。
結論からお伝えすると、ホームページも医療広告ガイドラインの規制対象であり、注意点を知らずに運用していると、意図せず違反表現を掲載してしまうことがあります。この記事では、ホームページ運用における具体的な注意点を、医療介護の現場を20年以上歩いてきた視点も交えて整理します。
ホームページも医療広告ガイドラインの注意点の対象です
医療広告に関する規制は、もともとチラシや看板など限られた媒体が中心でした。しかし2018年の医療法改正により、ウェブサイトも「広告」として扱われることが明確になりました。バナー広告やSNS投稿だけでなく、自院が運営するホームページ自体が規制の対象です。
「うちは広告費をかけていないから関係ない」という考え方は、この時点で見直す必要があります。院長さまの想いを込めた紹介文や、スタッフが良かれと思って書いた体験談も、内容次第では違反にあたる可能性があります。
よくあるNG表現5つ
医療広告ガイドラインでは、患者さまや利用者さまが誤った期待を抱かないよう、いくつかの表現が禁止されています。ホームページでよく見かけるNG例を整理しました。
| NG表現の種類 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 患者の体験談 | 「治療を受けて本当に良くなりました」という患者の声の掲載 | 効果には個人差があり誤認を招くため使えません |
| ビフォーアフター写真 | 治療前後の写真を並べての比較掲示 | 限定解除要件を満たさない限り原則NGです |
| 断定的な効果表現 | 「絶対安全」「必ず治ります」 | 医療に絶対はなく、断定表現はNGです |
| 比較優良表現 | 「地域No.1」「他院より優れた治療」 | 客観的根拠のない比較優良表現は禁止です |
| 誇大な表現 | 「最先端」「奇跡の治療法」を裏付けなく使用 | 誇大広告として禁止されています |
私はこれまで医療介護施設のWeb支援で表現チェックを行ってきましたが、院長さまの熱意が強いページほど、体験談や断定表現が入り込みやすいという印象を持っています。悪意ではなく「伝えたい気持ち」が先行した結果であることがほとんどです。だからこそ、公開前の第三者チェックが有効だと感じています。
限定解除要件の概要
先ほどのNG表現の中には、「限定解除要件」を満たせば掲載できるものもあります。代表例がビフォーアフター写真です。限定解除の考え方として、一般的には以下のような条件が挙げられます。
- 患者が自ら求めて情報を得られる状態にしてあること(トップページに広告的に掲示しない等)
- 治療内容・費用・主なリスクや副作用について、あわせて説明していること
- 問い合わせ先を明記していること
ただし、限定解除要件の解釈は自治体や個別の状況によって細かく異なる場合があります。「自院のこのページは要件を満たしているか」を自己判断だけで決めるのはリスクがあります。掲載前には厚生労働省の医療広告ガイドラインおよび解説書を確認し、不明な点は管轄の保健所など自治体へ問い合わせることをおすすめします。
また、限定解除要件を満たしたつもりでも、ページ構成を後から変更した際に問い合わせ先の記載が消えてしまう、といった見落としも起こりがちです。一度確認して終わりにせず、サイト更新のたびに要件を満たしているかを見直す運用ルールを決めておくと安心です。
自院でセルフチェックする方法
日常的な運用の中では、まず自院でできる簡易チェックから始めるのが現実的です。
- サイト内の患者の声・体験談の記載を洗い出す
- 「絶対」「必ず」「一番」「No.1」などの断定・比較表現を検索する
- ビフォーアフター写真の掲載箇所と、リスク・費用の説明有無を確認する
- 更新のたびに、新しく追加した文言だけでも見直す習慣をつける
- スタッフブログやSNS埋め込みなど、院長さま以外が更新する箇所も定期的に確認する
特に4と5は見落とされがちです。院内で複数人がホームページを更新している場合、誰かが良かれと思って追加した一文が、気づかないうちにガイドラインの注意点に触れてしまうことがあります。
チェックの際は、院内スタッフだけで完結させず、外部の視点を入れることも有効です。私自身、クリニックさまのホームページを拝見する中で、制作会社に依頼した時点では適切だった表現が、その後の追記で崩れているケースを何度か見てきました。ガイドラインは一度確認して終わりではなく、継続的な運用の中で意識し続ける必要があります。
まとめ|不安なときは専門家への確認を
医療広告ガイドラインは、ホームページも規制の対象であり、体験談・ビフォーアフター写真・断定表現・比較優良表現・誇大表現には注意が必要です。限定解除要件を満たせば掲載できる場合もありますが、判断が難しい部分でもあります。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的な助言ではありません。個別の掲載可否については、厚生労働省の指針の確認や、管轄自治体への相談をあわせてご検討ください。
ページ構成そのものを見直す段階であれば、クリニックのホームページの作り方|開業医向け解説で必要なページと掲載内容を整理していますので、参考にしていただければと思います。
「自院のサイトが注意点を満たしているか自分では判断しづらい」という場合は、まず現状を整理してみることをおすすめします。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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