介護の採用で「人材紹介に頼らない」視点が必要な理由
介護職の採用がうまくいかず、人材紹介会社に登録して都度紹介を受けている施設は少なくありません。急な欠員が出たときにはたしかに心強い選択肢です。ただ、紹介に頼る状態が続くと、採用のたびに費用が発生し続けるという課題も同時に抱えることになります。
一方で、自施設のWeb上の情報を整え、求人サイトや検索から直接応募が入ってくる流れをつくれれば、紹介への依存度を下げられる可能性があります。人材紹介を完全にやめる必要はありません。「緊急時は紹介、平時は自社採用」という形で使い分ける土台を持っておくことが、中長期的には採用活動を安定させることにつながります。この記事では、人材紹介のコストの実情と、自社応募を増やすために整えておきたい3つの土台を整理します。
人材紹介にかかるコストを、まず正しく把握する
人材紹介の手数料は、一般に紹介された人材の理論年収の20〜35%程度とされることが多いといわれていますが、料率は契約先や職種によって大きく異なるため、実際の金額は自施設の契約書で確認してください。1名の採用に数十万円規模の費用がかかるケースも珍しくないと言われています。年間で複数名を紹介経由で採用している施設では、この費用の合計が採用予算のかなりの部分を占めていることもあるでしょう。
もちろん人材紹介には、母集団の確保や条件交渉の代行など、自施設だけでは難しい部分を補ってもらえる利点があります。特定の会社や手法を否定するものではありません。ここで押さえておきたいのは、「紹介に頼るコスト」と「自社で応募を集める体制づくりにかける労力」を天秤にかけたとき、後者に投資する余地が意外とあるかもしれない、という視点です。
| 比較の観点 | 人材紹介 | 自社応募の土台づくり |
|---|---|---|
| 費用が発生するタイミング | 採用が決まるたび | 初期整備後は継続コストが小さい |
| スピード | 比較的早く候補者に出会える | 効果が出るまで一定の期間が必要 |
| 継続性 | 依頼するたびに費用がかかる | 一度整えれば資産として残る |
自社応募を増やす3つの土台
自社応募を増やすといっても、いきなり大規模な採用サイトを作る必要はありません。まずは次の3つの土台を、優先順位をつけて整えていくことをおすすめします。
土台1:検索されたときの「採用ページ」を整える
求職者は求人サイトで気になる求人を見つけても、応募前に施設名で検索し、公式サイトの採用ページを確認する行動を取ることが多いといわれています。このとき採用ページが見当たらない、あるいは情報が古いままだと、応募を検討している段階で離脱につながりかねません。
採用ページに載せる要素の型や、求職者に伝わる文章の書き方については、医療・介護施設の採用ページの書き方で詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。
土台2:求人票とサイトの情報を一致させる
求人サイトの求人票と、自施設サイトの採用ページの内容がずれていると、求職者に不信感を与えてしまうことがあります。給与や勤務条件はもちろん、写真や職場の雰囲気の伝え方についても、求人票とサイトで矛盾がないか一度確認しておくとよいでしょう。私自身、作業療法士として現場に立ちながら採用に関わった経験の中で、「求人票では明るい職場と書いてあったのに、ホームページに情報がほとんどなくて不安になった」という声を、面接の場で耳にしたことが何度もあります。情報の一致は、求職者が抱く安心感に直結する部分だと感じています。
土台3:職員紹介やスタッフの声を継続的に発信する
採用ページを一度作って終わりにせず、職員紹介やスタッフの声を少しずつ更新していくことも土台のひとつです。新しく入職したスタッフのコメントを追加したり、行事や研修の様子を写真つきで紹介したりするだけでも、「今も動いている職場」という印象を求職者に伝えられる可能性があります。更新の手間を大きくかけられない施設でも、月に1回程度の頻度から始めてみることをおすすめします。
なお、そもそも応募数自体が少ないと感じている場合は、介護職の応募が来ない理由で構造的な要因も含めて整理していますので、あわせて参考にしてください。
人材紹介との上手な使い分け方
自社応募の土台を整えたからといって、人材紹介がすぐに不要になるわけではありません。急な欠員や、専門性の高いポジションの採用など、紹介会社の力を借りたほうが効率的な場面は今後もあるでしょう。
大切なのは、「紹介に頼らざるを得ない状況」を減らしていくことです。自社応募の流れができていれば、紹介を利用する場面を絞り込みやすくなり、結果として採用にかかる費用全体を見直せる可能性があります。人材紹介と自社採用は対立するものではなく、状況に応じて使い分ける関係だと捉えるのが現実的です。
まとめ|自社応募の土台づくりは、今日から着手できます
介護の採用で人材紹介に頼らない方法について、コストの実情と自社応募を増やす3つの土台を整理してきました。
- 人材紹介の手数料は理論年収の20〜35%程度とされることが多いが、契約先や職種によって差があり、採用のたびに費用が発生し続ける
- 求職者は応募前に施設名で検索し、採用ページの有無や情報の新しさを確認している
- 採用ページの整備、求人票との情報の一致、職員紹介の継続発信が自社応募の土台になる
- 人材紹介を完全にやめるのではなく、自社応募の土台を持ったうえで場面に応じて使い分けることが現実的
まずは自施設の採用ページが今どうなっているか、求職者と同じ目線で確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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