「求人サイトに掲載しているのに、介護職の応募が来ない」。デイサービスや訪問介護、入所系施設の経営者さま・採用担当の方から、こうしたご相談をよくいただきます。理由は一つではなく、業界全体の構造的な事情と、自施設のWeb上の情報の見せ方という、二つの側面が重なっていることがほとんどです。この記事では、介護職の応募が来ない理由を整理したうえで、費用をかけずに今日から着手できる改善のポイントを、医療介護の現場を20年以上歩いてきた作業療法士の視点でお伝えします。

介護職の応募が来ない理由は「業界の壁」と「自施設の情報」の両方

介護職の応募が来ない理由を突き詰めていくと、大きく二つに分かれます。

  • 業界全体の構造的な理由:有効求人倍率の高さ、他業種との人材の奪い合い
  • 自施設で改善できる理由:求人票の書き方、採用ページの有無、Web上での見え方

前者は施設単独でどうにかできるものではありません。ですが後者は、費用をかけなくても見直せる部分が多くあります。まずは構造的な背景から確認していきましょう。

有効求人倍率が示す、応募が集まりにくい構造

介護職の有効求人倍率は、全産業平均を大きく上回る水準が続いています。求職者一人に対して求人数のほうが多い、いわゆる「売り手市場」の状態です。

この状況では、求職者は複数の求人の中から「気になる施設」を選ぶ立場になります。給与や勤務時間の条件が横並びであれば、最終的に応募先を決める材料になるのは、条件以外の情報です。職場の雰囲気、教育体制、実際に働く人の様子といった、求人票には書ききれない情報が、選ばれるかどうかを左右しています。

つまり、応募が来ない背景には「そもそも介護職の求職者数が少ない」という構造がある一方で、限られた求職者に選ばれるための情報発信が足りていない、という自施設側の課題も同時に存在しているのです。

求人票だけでは伝わらない「職場の様子」

求人サイトに載せる情報は、給与・勤務時間・休日数といった条件面が中心になりがちです。これはこれで必要な情報ですが、条件の羅列だけでは、他の施設との違いがほとんど伝わりません。

求職者が本当に知りたいのは、次のような情報です。

求職者が気になること 求人票だけでは伝わりにくい理由
どんな人が働いているか 職員紹介や写真が求人票に載ることは少ない
教育・研修の実際 「研修制度あり」だけでは中身が想像できない
オンコールや残業の実態 条件欄には表れにくい
職場の雰囲気 テキストの条件だけでは判断できない

私自身、作業療法士として現場で働きながら、採用側として面接に立ち会う機会も多くありました。応募してくださった方に「うちを知ったきっかけ」を尋ねると、「求人サイトで見て、気になったので施設のホームページも見てみました」という答えが少なくありません。その際にホームページの情報が古い、あるいは採用に関するページが見当たらないと、応募の一歩手前で迷いが生まれてしまう場面を何度も見てきました。

求職者は応募前に施設名で検索している

求人サイトに応募ボタンがあっても、求職者はその場ですぐに押すわけではありません。多くの場合、いったん施設名で検索し、公式サイトやSNS、口コミなどをひととおり確認してから応募を検討します。

このとき、次のような状態だと、応募の検討段階でつまずきやすくなります。

  • 採用に関するページがなく、求人サイトの情報しか確認できない
  • 施設紹介はあっても更新が止まっており、今の様子がわからない
  • スマホで見ると文字が小さい、表示が崩れているなど見づらい
  • 検索しても施設の情報がほとんど出てこない

同じことは訪問看護でも起きています。訪問看護のホームページの作り方でも触れているとおり、求職者は応募する前に職場の雰囲気や働き方を確認する行動を取ります。介護職の採用でも、この「検索してから応募を決める」という流れを前提に、Web上の情報を整えておくことが欠かせません。

採用ページを新設したり、スタッフ紹介や1日の流れを掲載したりすることで、応募を検討している方に安心材料を渡せる可能性があります。すぐに大きな変化が出るとは限りませんが、条件面以外で選ばれる要素を増やす取り組みとして、着手する価値はあるといえるでしょう。

人材紹介に頼るコストも無視できません

応募が来ない状態が続くと、人材紹介会社を利用して採用につなげる施設も多いのではないでしょうか。ただし、人材紹介には決して小さくないコストがかかります。

人材紹介の手数料は理論年収の20〜30%程度が相場とされ、1名あたり数十万円から100万円を超える例も報告されています。1名の採用にこれだけの費用がかかることを踏まえると、自施設のWeb上の情報を整え、直接応募につながる導線をつくっておくことは、中長期的なコストの見直しにもつながる取り組みだと考えられます。

もちろん人材紹介そのものを否定するものではありません。緊急性の高い採用では有効な手段です。ただ、応募が来ない理由をそのままにして人材紹介だけに頼り続けると、採用コストがかさみ続ける可能性がある、という点は知っておいて損はありません。

まとめ|まず自施設の「検索したときの見え方」を確認する

介護職の応募が来ない理由について、業界の構造的な要因と、自施設で見直せる要因の両面から整理してきました。

  • 介護職は有効求人倍率が高く、求職者に選ばれる立場であることが前提になっている
  • 求人票の条件だけでは、他施設との違いが伝わりにくい
  • 求職者は応募前に施設名で検索し、職場の様子を確認してから応募を決める
  • 採用ページやスタッフ紹介の有無、スマホでの見やすさが、応募検討の分かれ目になり得る
  • 人材紹介への依存が続くと、採用コストがかさみ続ける可能性がある

まずは一度、ご自身のスマホで施設名を検索し、求職者と同じ目線で自施設の情報を確認してみてください。採用ページの有無やスマホでの見やすさなど、意外な改善点が見つかることもあります。

まずは、無料のWeb診断から。

作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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