医療・介護の現場から「LINE公式アカウントを活用したい」というご相談をいただくことが増えています。ただ、話を伺うと社内で使っている「LINE WORKS」と混同されているケースが少なくありません。医療・介護のLINE公式アカウント活用は、社内の業務連絡ではなく、患者・利用者やご家族といった外部への情報発信が役割です。この記事では、両者の違いと、医療・介護施設がLINE公式アカウントをどう使い分けるとよいかを整理します。
医療・介護施設のLINE公式アカウント活用で最初に整理すべきこと
まず押さえておきたいのが、LINE公式アカウントとLINE WORKSは目的も利用者もまったく異なるサービスだという点です。
- LINE公式アカウント: 患者・利用者・ご家族・求職者など、事業所の外にいる人へ情報を届けるためのツールです。友だち登録した人に一斉配信できる、いわゆる「お店の公式LINE」と同じ仕組みです。
- LINE WORKS: スタッフ間の連絡・申し送り・シフト調整など、社内の業務コミュニケーションを目的としたビジネスチャットです。外部の患者・利用者は基本的に参加しません。
この2つを混同したまま導入を進めると、「社内の連絡ツールのつもりで契約したら、外部発信の機能しかなかった」あるいはその逆といった行き違いが起きます。導入を検討する段階で、誰に何を届けたいのかを先に決めておくことが遠回りを防ぐ近道ではないでしょうか。
LINE公式アカウントの使いどころ|お知らせ・予約・採用の窓口
医療・介護施設がLINE公式アカウントを活用する場面は、おおむね次のように整理できます。
- 休診・臨時休業のお知らせ: 台風や職員の急な欠勤などで対応が変わる際、電話が集中する前に一斉配信できます。
- 施設の行事・空室情報の発信: デイサービスの季節行事や、入居系施設の空室状況を、すでにつながりのあるご家族へ伝えられます。
- 予約のリマインド: 診療や面会の前日に案内を送ることで、来院・来所忘れの防止につながる可能性があります。
- 採用の問い合わせ窓口: 求人に関心を持った方が気軽に質問しやすい窓口として使えます。電話よりハードルが低いと感じる求職者もいるでしょう。
私は作業療法士として現場に立っていた頃、ご家族から「電話だと聞きたいことをうまく言葉にできない」という声を何度か聞いたことがあります。LINEのようにテキストでやり取りできる窓口があれば、こうした小さな相談のハードルを下げられる場面もあるのではないかと感じます。
なお、こうした情報発信の効果を最大限に活かすには、医療広告ガイドラインとホームページの注意点で触れているような、医療・介護分野特有の表現ルールをLINEの配信文にも適用しておく必要があります。ホームページと同じ基準で確認する体制を整えておくと安心です。
LINEでやり取りしてはいけないこと|個人情報保護の考え方
ここが最も重要な点ですが、個人の症状・容態・ケア内容といった要配慮個人情報は、LINEでやり取りしてはいけません。LINE公式アカウントは便利な反面、次のようなリスクを抱えています。
- 担当者の異動・退職時にアカウントの引き継ぎが不十分だと、過去のやり取りが宙に浮く
- 家族間で端末を共有している場合、意図しない相手にメッセージが見える可能性がある
- 施設側の記録システムと連携していないため、ケア記録として正式に残らない
体調の変化やケアの相談を受けたい場合は、施設の業務システムや、ケアマネジャー・看護師を通じた正規の連絡経路を案内するのが基本です。LINEは「お知らせを届ける」「日程を調整する」といった事務的なやり取りに役割を絞り、要配慮個人情報のやり取りには使わないというルールを、スタッフ全員で共有しておくことをおすすめします。
ホームページとの役割分担|「すでに関係がある人」と「これから探す人」
LINE公式アカウントを導入すると、「ホームページはもう更新しなくていいのでは」と感じる方もいらっしゃいますが、この考え方には注意が必要です。
LINE公式アカウントは、すでに友だち登録している人、つまりすでに関係のある患者・利用者・ご家族・スタッフに情報を届ける道具です。一方で、これから施設を探そうとしている人は、まだ友だち登録をしていないため、LINEでの発信は届きません。検索やGoogleマップから「地域名+サービス名」で調べて事業所を見つけるのは、依然としてホームページの役割です。この入口の整備については、ホームページの問い合わせを増やす導線の作り方で扱っている考え方が参考になります。
つまり、LINE公式アカウントとホームページは競合する関係ではなく、入口(ホームページ)と継続的な接点(LINE)という役割分担で捉えるのが実態に近いのではないでしょうか。この整理を持っておくと、どちらか一方に偏った投資をせずに済みます。
まとめ|医療・介護のLINE公式アカウント活用で押さえたい3点
最後に、この記事の内容を整理します。
- LINE公式アカウントとLINE WORKSは別物。外部発信用と社内連絡用という目的の違いを最初に確認する
- 休診案内・行事や空室情報・予約リマインド・採用窓口が主な使いどころで、要配慮個人情報のやり取りには使わない
- LINEは「すでに関係のある人」への継続的な接点、ホームページは「これから探す人」の入口という役割分担を意識する
この役割分担を踏まえて設計すれば、LINE公式アカウントとホームページのそれぞれが持つ強みを活かしやすくなるのではないでしょうか。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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