訪問看護ステーションやデイサービス、クリニックのホームページを見直そうとするとき、多くの方がまず考えるのは「アクセスを増やす」ことではないでしょうか。もちろんそれも大切ですが、実はその前に見落とされがちなことがあります。それが、すでにホームページへ来てくださっている方の問い合わせを増やすための「導線」です。導線とは、訪問者が最初に着いたページから、問い合わせに至るまでの道のりのことを指します。どれだけ集客に力を入れても、この導線が整っていなければ、せっかく訪れた方を途中で取りこぼしてしまいます。本記事では、医療介護施設のホームページに共通する、問い合わせ導線のつくり方を整理してご紹介します。

ホームページの問い合わせを増やす「導線」とは

導線という言葉を聞くと、難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。噛み砕くと、「訪問者が迷わず、目的の行動(問い合わせ)にたどり着けるかどうか」という話です。

たとえば、検索やSNS経由でトップページに着いた方が、施設の特徴を読み、料金や利用の流れを確認し、最後に「問い合わせる」というボタンを押すまでの一連の流れが導線にあたります。この道のりのどこかに迷いや不安、あるいは単純な操作のしづらさがあると、そこで離脱が起きます。

つまり、アクセス数を増やす施策(集客)と、来た人を取りこぼさない施策(導線)は、まったく別のテーマだということです。ケアマネジャーの方と話していると、「あの施設のホームページ、電話番号が見当たらなくて結局別の候補に連絡した」という話が今でも出てきます。導線の詰まりは、こうした形で静かに機会を減らしているのではないでしょうか。

誰からの問い合わせを増やしたいのかを先に決める

導線を設計する前に、まず決めておきたいことがあります。それは「誰からの問い合わせを増やしたいのか」です。医療介護施設のホームページには、性質の異なる訪問者が同時にやってきます。

  • 利用者・そのご家族: サービス内容や料金、雰囲気を知りたい方。じっくり読んでから、夜間や休日にスマートフォンで訪れることも多い層です
  • ケアマネジャーなど紹介元: 空き状況や対応可能な範囲を短時間で確認したい方。業務時間中にパソコンで訪れることが多い層です
  • 求職者: 採用条件や職場の様子を知りたい方。スマートフォンで、スキマ時間に閲覧する傾向があります

この3者は、求めている情報も、使う端末も、動く時間帯も異なります。それにもかかわらず、1つの「お問い合わせフォーム」にすべての用件を流し込んでいるホームページを、現場でもよく見かけます。これでは、フォームを開いた瞬間に「自分の用件には合わなそうだ」と感じさせてしまい、離脱につながりやすくなります。

よくある詰まりとその改善ポイント

導線が途切れる場所には、いくつかの共通パターンがあります。心当たりがないか、ご自身のホームページで確認してみてください。

電話番号がタップできない

スマートフォンで見ているのに、電話番号が画像やテキストのままで、タップしても発信につながらないケースです。特に急ぎの相談をしたい家族や紹介元にとっては、この一手間が大きな障壁になります。

営業時間外の受け皿がない

夜間や休日にホームページを訪れた方が、「今は電話できないが、あとで連絡してほしい」と思っても、フォームが「電話でのみ受付」となっていると、そのまま離脱してしまいます。フォームやメールなど、電話以外の受け皿があるかどうかは意外と見落とされがちです。

フォームの入力項目が多すぎる

住所や生年月日、詳細な相談内容など、返信のために本当に必要かどうか怪しい項目まで並んでいると、途中で入力をやめてしまう方が出やすくなります。

問い合わせボタンがトップページの最下部にしかない

スクロールしないと問い合わせ先が見えない構成では、途中で興味を失った方に接点を作れません。

スマートフォンで固定表示されていない

スクロールしても常に見える位置に問い合わせボタンがない、あるいはボタン自体が小さすぎてスマホでは押しにくい、というケースもよくあります。スマホでの見え方については、クリニックのホームページのスマホ対応でも詳しく取り上げていますので、あわせてご確認いただければと思います。

相手ごとに分かるボタンとフォームにする

先ほど整理した3者それぞれに向けて、ボタンの文言を分けることも有効な手立てです。「お問い合わせはこちら」という一つのボタンだけでなく、次のように用途を明示すると、訪問者は自分に関係のあるボタンをすぐに見つけられます。

  • 見学のご相談はこちら(利用者・ご家族向け)
  • ケアマネジャーの方へ(紹介元向け)
  • 採用エントリー(求職者向け)

ボタンを分けたら、フォームの項目も「返信に最低限必要なもの」だけに絞ります。お名前、連絡先、ご用件の3〜4項目程度で十分に返信できることがほとんどです。項目を削るだけで、入力の負担が下がり、最後まで送信してもらえる可能性が上がると考えられます。

あわせて、「送信後に何が起きるか」を一言添えておくことも効果的です。たとえば「通常2営業日以内に、担当スタッフよりお電話にてご連絡いたします」といった案内があるだけで、送信をためらう気持ちが和らぐのではないでしょうか。連絡が来るのかどうか分からない状態は、訪問者にとって想像以上に不安なものです。

数字で導線を把握する

導線は一度整えて終わりではなく、月に一度でもよいので、どのページから何件の問い合わせが来ているかを数字で把握する習慣を持つことをおすすめします。トップページからの問い合わせが多いのか、サービス紹介ページからが多いのか、あるいは採用ページからの応募がまったくないのかが分かると、次に手を入れるべき場所も見えてきます。

計測の仕組みそのものがまだ整っていない場合は、まずは問い合わせフォームの送信完了ページを分けるところから始めるだけでも、傾向をつかむ手がかりになります。

まとめ|問い合わせを増やす導線づくりの3つのポイント

医療介護施設のホームページで問い合わせを増やすためには、次の3点を意識してみてください。

  1. 誰からの問い合わせを増やしたいのかを先に決める(利用者家族・紹介元・求職者は別物として扱う)
  2. 電話番号のタップ・営業時間外の受け皿・フォーム項目数など、よくある詰まりを一つずつ解消する
  3. ボタンの文言を相手ごとに分け、送信後の流れを明記して不安を減らす

ただし、導線をどれだけ整えても、そもそもホームページに人が来ていなければ問い合わせは発生しません。導線の見直しとあわせて、集客の土台づくりにも目を向けていただければと思います。ホームページ全体の構成から見直したい方は、介護施設のホームページの作り方もあわせてご覧ください。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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