「うちのホームページ、スマホでも一応見られるはずなんですが」。院長・事務長の方からこう伺うことがありますが、実際にスマートフォンで開いてみると、文字が小さすぎたり、電話番号をタップしても発信できなかったりするケースは少なくありません。

クリニックのホームページのスマホ対応とは、単に「スマホでも表示される」ことではなく、小さな画面でも患者さまが必要な情報にたどり着ける状態を指します。パソコン向けの画面をそのまま縮小して表示している状態では、たどり着く前に離脱してしまう可能性があります。

この記事では、患者さまがクリニックのホームページを見て離脱しやすい3つの理由と、自院のサイトを自分のスマホで確認する方法、対応の優先順位を、医療介護の現場を20年以上歩いてきた作業療法士の視点も交えて整理します。

なぜ「スマホで見やすいか」が集患に関わるのか

体調が気になったとき、多くの方はまずスマートフォンで症状や地域名を検索し、候補に挙がったクリニックのホームページで診療時間やアクセス、予約方法を確認してから来院を判断します。パソコンより先にスマホで情報を探す行動は、若い世代に限った話ではありません。

現場で作業療法士として働くなかで、外来の待合室や訪問先で、ご高齢の患者さまやそのご家族が、スマートフォンを目に近づけたり画面を指で広げたりしながら、次に通う病院やクリニックの情報を探している場面を何度も見てきました。ご本人だけでなく、離れて暮らすお子さま世代がスマホで調べて「ここに行ってみたら」と勧めるケースも珍しくありません。つまりスマホでの見やすさは、患者さまご本人だけでなく、その周囲の方の判断にも影響する部分だといえます。

なお、スマホ対応をすれば必ず患者数が増える、というものではありません。医療広告ガイドラインでも効果の保証にあたる表現は避ける必要があります。ここで大切なのは、「探している情報にたどり着く前に離脱してしまう」という機会損失を減らすことだと捉えておくとよいでしょう。

患者が離脱する3つの理由

スマホでホームページを見た患者さまが途中で離れてしまう理由は、突き詰めると次の3つに集約されることが多いです。

理由1: 文字が小さくて読みにくい

パソコン向けに作られたページをそのまま縮小表示していると、文字が小さくなり、指で画面を広げないと読めない状態になります。特に診療時間や休診日の表など、細かい文字が並ぶ部分は読みづらさが目立ちやすい箇所です。

読むこと自体に一手間かかると、そのページを最後まで読まずに離れてしまう患者さまがいても不思議ではありません。

理由2: 電話番号をタップしても発信できない

電話番号が単なるテキストとして表示されている場合、スマホで見ても文字をタップするだけでは電話をかけられません。番号を確認してから電話アプリを別途開き、手入力する手間が発生します。

体調が優れないときや、外出先から急いで連絡したいときほど、この一手間が負担になります。番号をタップしてそのまま発信できる仕組みになっているかどうかは、離脱を防ぐうえで見落とされがちなポイントです。

理由3: 表示が遅く、開くまでに待たされる

画像サイズが大きいままだったり、装飾的な仕掛けが多かったりすると、スマホの通信環境によってはページが表示されるまでに時間がかかります。開くまで待たされると、そのまま別のクリニックのページに移ってしまう患者さまもいます。

特に電波の弱い場所や、移動中に調べている患者さまにとって、表示の遅さも離脱の要因の一つになり得ます。

自院サイトの確認方法(自分のスマホでできる簡易チェック)

専門的な知識がなくても、ご自身のスマートフォンで今のホームページを開けば、上記3つの理由に当てはまっていないかをある程度確認できます。次の手順で見てみてください。

  1. 普段お使いのスマホでクリニックのホームページを開く
  2. 画面を指で広げなくても、診療時間や電話番号の文字が読めるか確認する
  3. 電話番号の文字をタップし、電話アプリの発信画面に切り替わるか確認する
  4. トップページが表示されるまでの体感時間を確認する(数秒以上待たされる感覚がないか)
  5. 横にスクロールしないと文章やボタンの端が見えない箇所がないか確認する

このとき、Wi-Fi環境だけでなく、外出先でスマホの回線を使って開いてみることもおすすめします。院内のWi-Fiでは快適でも、患者さまが自宅や移動中に見る環境とは条件が異なる場合があるためです。

なお、Googleが提供している無料の検証ツールを使うと、スマホでの見やすさに関する技術的な項目を確認できます。ただし、ツールの判定結果がそのまま「患者さまにとっての見やすさ」と一致するとは限らないため、あくまで実際に自分のスマホで開いて確認することを基本にしてください。

クリニックのホームページのスマホ対応|選択肢と優先順位

自院のサイトに課題が見つかった場合、いきなり全面リニューアルを検討する前に、影響の大きいところから段階的に対応する考え方が現実的です。

優先度 対応の内容 想定される負担
電話番号をタップで発信できる形式に直す 比較的小さい(部分修正で対応できることが多い)
画像サイズを圧縮し、表示速度を改善する 比較的小さい
文字サイズ・行間を調整し、指で広げなくても読める大きさにする 中程度(ページ全体の見直しが必要な場合あり)
低〜中 サイト全体をレスポンシブデザイン(画面サイズに応じて自動でレイアウトが変わる仕組み)で作り直す 大きい(全面リニューアルに近い)

高齢の患者さまが多い診療科であれば、文字サイズは一般的な目安とされる大きさより少し余裕を持たせ、タップする範囲(ボタンや電話番号のリンク)も指で押しやすい広さを確保しておくと、操作のしやすさにつながります。あわせて、コントラスト(文字と背景の色の差)がはっきりしているかどうかも、見やすさに影響する要素です。

まずは電話番号のタップ対応と表示速度など、費用や工数をかけずに直せる部分から着手し、それでも読みにくさが残る場合に、文字サイズの調整やレイアウトの見直しへと段階を上げていくと、無理なく進めやすくなります。ホームページ全体の作り方を見直したい場合は、クリニックのホームページの作り方もあわせてご覧ください。

まとめ|スマホでの見やすさは患者との最初の接点

クリニックのホームページのスマホ対応について、患者さまが離脱しやすい3つの理由と確認方法、対応の優先順位を整理しました。

  • 文字が小さい、電話番号がタップできない、表示が遅いという3つが離脱の主な理由になりやすい
  • 自分のスマホで実際に開いて確認するだけでも、多くの課題は見つけられる
  • 全面リニューアルの前に、電話番号の発信対応や表示速度の改善など、負担の小さいところから優先的に対応する

スマホでの見やすさは、患者さまがクリニックと最初に接する場面の一つです。整った情報がきちんと届く状態を保つことは、クリニックの集患方法を考えるうえでの土台にもなります。

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作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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