訪問看護ステーションの開業を控えている、あるいは開業したばかりという方にとって、集客は大きな悩みの一つではないでしょうか。訪問看護は病院と違い、通りがかりの人が来院するような業態ではありません。ケアマネジャーや病院の連携室から「依頼したい」と思ってもらえなければ、利用者につながらない仕組みだからです。この記事では、訪問看護ステーションの開業前後から最初の3ヶ月に絞り、何を・いつ・どの順番で進めればよいかを時系列で整理します。制度や指定申請の要件は地域によって運用が異なるため、詳細な数値要件はここでは扱いません。所在地の指定権者に確認が必要な部分として、その旨を都度お伝えします。
開業前の準備|挨拶回り先のリストアップと事業所案内
指定申請を進めながら開設に向けて準備を進める段階で、まず取り組んでおきたいのが挨拶回り先のリストアップです。訪問看護の依頼元は、大きく分けると居宅介護支援事業所のケアマネジャー、病院の地域連携室・退院支援担当、地域包括支援センターの3つに集約されます。開業エリア内にこれらの事業所がどれだけあるか、開業前の時間があるうちに地図やリストにまとめておくと、開業後の動きが格段にスムーズになります。
あわせて準備しておきたいのが、事業所を紹介する案内資料です。「どのエリアに対応できるのか」「どんな疾患・状態の利用者に対応できるのか」「緊急時の連絡体制はどうなっているのか」を、A4一枚程度にまとめておくと、挨拶に伺った際にその場で渡せます。開業したばかりの事業所は実績を語れない分、対応できる範囲や体制を具体的に示すことが、相手の判断材料になります。
開業前の準備|ホームページとGoogleビジネスプロフィールの土台づくり
挨拶回りと並行して進めておきたいのが、ホームページとGoogleビジネスプロフィールの立ち上げ準備です。ケアマネジャーや連携室のスタッフは、挨拶を受けたあとに「この事業所は本当に稼働しているのか」「電話番号や対応エリアはどこで確認できるのか」を、インターネットで調べ直すことが少なくありません。このとき、ホームページが存在しない、あるいは情報が古いままだと、せっかくの挨拶の印象が薄れてしまいます。
開業前の段階で最低限そろえておきたい情報は、次のとおりです。
- 事業所名・住所・電話番号・対応エリア
- 提供できる訪問看護の内容(疾患別対応、ターミナルケア、リハビリの可否など)
- 管理者・スタッフの体制(人数や職種の紹介程度でよく、個人が特定される詳細情報は不要です)
- 緊急時の連絡体制、24時間対応の可否
- 依頼・相談の連絡先(電話・問い合わせフォームなど)
Googleビジネスプロフィールについては、事業所名・住所・電話番号を正確に登録しておくと、「エリア名 訪問看護」といった検索で見つけてもらいやすくなります。ホームページの作り方については、訪問看護のホームページの作り方で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
開業直後1ヶ月|居宅介護支援事業所・病院連携室への挨拶
開業したら、準備しておいたリストをもとに、居宅介護支援事業所と病院の連携室へ実際に挨拶に伺う段階に入ります。開業間もない事業所を外から見ていると、ケアマネジャーの方が「新しく開業したステーションさんは、結局何ができるのかが分からないまま連絡先だけもらって終わることが多い」ともらすのを、しばしば耳にします。挨拶の場では、事業所名を覚えてもらうだけでなく、「何ができる事業所か」を1枚の案内で端的に伝えることが重要です。
伝える内容が多すぎると、かえって印象に残りにくくなります。対応可能なエリア、対応できる状態像(褥瘡ケア、看取り期対応、精神科訪問看護の可否など、自事業所が実際に対応できる範囲に絞って)、緊急時の連絡のしやすさという、依頼する側が判断に使う情報に絞って伝えるほうが、記憶に残りやすいのではないでしょうか。
また、挨拶回りは一度きりで終わらせず、名刺や案内資料を渡した先の反応を記録しておくことをおすすめします。「関心を持ってくれた事業所」「担当ケアマネジャーの名前」を控えておくと、その後の関係づくりの土台になります。
開業2〜3ヶ月目|最初の依頼への対応品質が次の紹介を決める
開業から1ヶ月ほど経つと、挨拶回りをきっかけに、最初の依頼が入ってくる時期に差しかかります。ここで意識しておきたいのは、実績がまだない開業間もない事業所にとって、最初の数件への対応そのものが最大の営業活動になるという点です。
ケアマネジャーや病院の連携室は、一度依頼した事業所の対応がスムーズであれば、次の利用者が出たときにも同じ事業所へ相談する傾向があります。逆に、連絡が取りにくい、報告が遅い、といった対応が続くと、次の紹介にはつながりにくくなるのではないでしょうか。開業間もない時期は依頼件数も少ないため、1件1件の対応の丁寧さが、そのまま口コミのように事業所間で伝わっていく土台になると考えられます。
実績がない時期に何を示せるかという問いに対しては、次のような点が手がかりになります。
- 連絡のしやすさを体感してもらう(電話やFAXでの返答の速さ、相談への応答姿勢)
- 報告・連携の丁寧さを実際の対応で示す(訪問後の報告書の分かりやすさ、状態変化時の連絡のタイミング)
- できないことも正直に伝える姿勢を持つ(無理に受けて対応が不十分になるより、対応可能な範囲を明確にするほうが信頼につながりやすいと感じています)
こうした積み重ねが、開業から半年、1年と経過したときの紹介数につながっていくのではないかと、現場を見てきた立場からは感じています。集客の方法をより広く見直したい場合は、訪問看護の集客方法|依頼元はケアマネと連携室もあわせてご参照ください。
まとめ|訪問看護ステーションの開業と集客で大切にしたいこと
訪問看護ステーションの開業と集客は、開業日を境に一気に動き出すものではなく、開業前の準備から最初の3ヶ月の対応まで、時系列でつながっているものだと感じています。
- 開業前は、挨拶回り先のリストアップと事業所案内、ホームページ・Googleビジネスプロフィールの土台づくりを並行して進める
- 開業直後1ヶ月は、居宅介護支援事業所・病院連携室への挨拶で「何ができる事業所か」を1枚で伝える
- 開業2〜3ヶ月目は、実績がない分、最初の依頼への対応品質そのものが次の紹介につながる土台になる
指定申請の要件や運用は自治体によって異なりますので、詳細は所在地の指定権者に確認しながら、開業準備と並行して集客の土台づくりを進めていただければと思います。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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