訪問看護ステーションの経営や管理をされている方の中には、「うちはホームページがなくても、これまで依頼が途切れたことはない」と感じている方も多いのではないでしょうか。地域のケアマネジャーとの信頼関係や、これまでの口コミだけで運営が回っている間は、ホームページの必要性を感じにくいものです。
しかし、訪問看護を取り巻く環境は少しずつ変わってきています。本記事では、訪問看護にホームページの必要性はあるのかというテーマを、「今は困っていない」という状態の裏側にある3つの意思決定の場面から考えていきます。ケアマネジャーが紹介先を選ぶ場面、看護師が転職先を探す場面、そして利用者家族が事業所名を検索する場面です。
訪問看護にホームページの必要性はあるのか|今のところ困っていない理由
多くの訪問看護ステーションが「ホームページがなくても依頼は来ている」と感じているのには理由があります。訪問看護の依頼経路は、これまで長らく地域のケアマネジャーや病院の退院支援担当者との人的なつながりに支えられてきたからです。
顔の見える関係ができている担当者からは、これからもホームページの有無にかかわらず紹介が続くかもしれません。この点では、ホームページが「今すぐ」の依頼数を左右しているわけではないという見方もできるでしょう。
ただし、これはあくまで「すでにつながりのある担当者」からの紹介に限った話です。問題は、まだつながりのない担当者や、これから関わる看護師、利用者家族が、事業所をどう判断しているかという部分にあります。ここから先は、その3つの場面を順に見ていきます。
ケアマネジャーは紹介先を選ぶ前にサイトを確認している
ケアマネジャーが利用者に訪問看護を紹介する際、必ずしも普段付き合いのある事業所だけを候補にするとは限りません。利用者の状態や地域、空き状況によっては、これまで接点のなかった事業所を検討することもあります。
そのとき、多くのケアマネジャーはまず事業所名で検索し、対応可能な疾患やエリア、営業時間、緊急時対応の体制などをホームページで確認しようとします。ここで情報が見つからなければ、電話で一件ずつ問い合わせる手間が発生し、結果として情報が整理されている他の事業所が先に候補に挙がってしまう、という状況が起こり得ます。
作業療法士として医療介護の現場を20年ほど見てきたなかで、ケアマネジャーの方が「この訪問看護ステーション、対応してもらえるかホームページで確認したいのに何も出てこない」と困っている場面に、何度も立ち会いました。実際に対応できる体制が整っていても、それを外から確認する手段がなければ、比較検討の候補にすら挙がらないというのが実情ではないでしょうか。
こうした「紹介先を選ぶ前の下調べ」の場面については、訪問看護の集客方法|依頼元はケアマネと連携室でも詳しく触れていますので、あわせてご覧いただければと思います。
看護師は転職先を検索してから応募先を決めている
訪問看護の現場では、人材の確保が長年の課題になっている事業所が少なくありません。求人票を出しても応募が集まりにくいと感じている経営者の方もいらっしゃるでしょう。
看護師が転職を検討する際の行動として、求人サイトで気になる求人を見つけたあと、事業所名を検索して公式サイトを確認するという流れがよく見られます。これは、給与や勤務条件だけでなく、「どんな理念で、どんな体制で働いているステーションなのか」を自分の目で確かめたいという心理によるものと考えられます。
このとき公式サイトが存在しなければ、求人票に書かれた情報がすべてになってしまいます。管理者の考え方やスタッフの雰囲気、教育体制といった、条件面には書ききれない情報を伝える手段がないまま、応募の判断を委ねることになります。
もちろんホームページを整えたからといって、応募が集まることを保証するものではありません。ですが、検索した看護師が事業所の情報にたどり着けること自体が、応募を検討してもらうための最低限の土台になると考えられます。なお、採用活動そのものの代行や人材紹介は当方の業務範囲ではなく、あくまでホームページによる情報発信の観点からの話であることを補足しておきます。
利用者家族は事業所名で検索して確かめている
利用者本人やご家族がケアマネジャーから訪問看護の候補を紹介されたとき、そのまま契約に進むケースばかりではありません。特にご家族が遠方に住んでいる場合や、複数の候補を比較したい場合には、紹介された事業所名をスマートフォンで検索してみる、という行動がよく見られます。
このとき、公式サイトが見当たらなければ、ご家族は不安を感じてしまうかもしれません。反対に、スタッフの紹介やサービス内容、料金の目安、よくある質問などが分かりやすく載っていれば、契約前の不安を和らげる材料になり得るのではないでしょうか。
- 「どんな看護師さんが来てくれるのか」
- 「緊急時にはどう対応してもらえるのか」
- 「費用はどのくらいかかるのか」
こうした疑問に、ケアマネジャーからの口頭説明だけでなく、いつでも読み返せる形で答えられる場所があるかどうかは、利用者家族にとって小さくない違いになると考えられます。
サイトが無いことは、比較の土俵に上がれないということ
ここまで見てきた3つの場面に共通しているのは、まだ関係のできていない相手が事業所を評価しようとする瞬間に、ホームページが参照されているという点です。事業所の体制がどれほど整っていても、外から確認する手段がなければ、比較の土俵に上がらないまま終わってしまうかもしれません。
これは今すぐ依頼が減るという話ではありません。既存のつながりがある限り、当面は今までどおり運営が回っていくはずです。ただし、新しい紹介元・人材・利用者との接点では、少しずつ機会を逃している可能性がある、というのが本記事でお伝えしたい視点です。
すでにホームページを作る方向で検討されている場合は、訪問看護のホームページの作り方で具体的な進め方を解説していますので、参考にしていただければと思います。
まとめ|訪問看護のホームページの必要性を今のうちに考える
最後に、本記事の内容を3点にまとめます。
- ケアマネジャーは紹介先を選ぶ前にサイトを確認することがあり、情報が無ければ比較検討の候補から外れる可能性があります。
- 看護師は転職先を検索してから応募を判断する傾向があり、公式サイトの有無が応募を検討してもらうための土台になり得ます。
- 利用者家族は事業所名で検索し、契約前の不安を確かめようとするため、情報が整理されていることが安心材料につながると考えられます。
訪問看護にホームページの必要性はあるかという問いに、絶対的な答えがあるわけではありません。ですが、今は見えていない機会損失が少しずつ積み重なっている可能性はあるのではないでしょうか。既存のつながりが続いているうちに、一度この視点で自事業所の状況を見直してみることをおすすめします。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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