「新規の問い合わせは来ているのに、なぜかデイサービスの稼働率が上がらない」。管理者さまからこうしたご相談をいただくことがあります。
稼働率は、定員と営業日数に対して実際にどれだけ利用があったかを示す経営指標です。新規獲得だけに目を向けていると、稼働率が上がらない本当の要因を見落としてしまうことがあります。
この記事では、デイサービスの稼働率がどのような構造で決まるのかを整理したうえで、稼働率を上げるための打ち手を、新規獲得と継続利用・欠席対策の両面から解説します。
デイサービスの稼働率とは何か|定員と営業日で決まる経営指標
稼働率は、おおまかに言えば「定員×営業日数」に対して「実際にのべ何人が利用したか」の割合で表されます。定員が同じでも、欠席が多い月と少ない月では稼働率は大きく変わりますし、曜日によって利用者数に偏りがあれば、月間の平均は思ったより伸びません。
一般に高稼働の目安とされる水準はありますが、機能訓練の内容やご利用者の要介護度の層によって適正な水準は施設ごとに異なります。他施設の数字と比較するよりも、自施設の稼働率の推移を月ごとに追うことのほうが、経営判断としては意味を持ちます。
稼働率が下がる要因は新規獲得不足だけではない
稼働率が伸び悩むと「新規利用者が足りない」と考えがちですが、実際には次のような要因が絡み合っていることが少なくありません。
| 要因 | 具体例 |
|---|---|
| 新規獲得の不足 | ケアマネジャーへの情報提供が薄い、紹介経路が限られている |
| 利用中止 | 状態の変化、施設入所、他サービスへの切り替え |
| 長期欠席 | 入院、体調不良による連続的な休み |
| 曜日偏り | 特定の曜日に希望が集中し、他の曜日は空きが埋まらない |
私はこれまで作業療法士として通所リハビリやデイサービスの現場に20年以上携わってきましたが、稼働率の低下を新規獲得だけで解決しようとして、営業活動ばかりに労力をかけている施設をいくつも見てきました。実際には、既存利用者の欠席理由を振り返るだけで、稼働率が改善する余地が見つかることも珍しくありません。新規獲得と継続利用・欠席対策は、どちらか一方ではなく両輪で見ることが大切だと感じています。
稼働率を上げる打ち手(1)新規利用者を獲得する
新規獲得の基本的な考え方は、ケアマネジャーへの空き情報提供とホームページ整備が土台になります。この部分の具体的な進め方は、デイサービスの集客方法で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
稼働率という経営指標の観点で付け加えるなら、新規獲得の打ち手は「空いている枠にどう人を入れるか」を意識して設計することが重要です。漠然と広報を強化するのではなく、後述する曜日別の空き状況と紐づけて、どの曜日・どの時間帯を優先的に埋めたいのかを明確にしたうえで、ケアマネジャーへの情報提供を行うと成果につながりやすくなる可能性があります。
稼働率を上げる打ち手(2)継続利用と欠席を減らす
新規獲得と並んで見落とされがちなのが、既存利用者に長く通っていただくための工夫と、欠席を減らすための工夫です。
- 欠席理由を記録し、体調不良・家族の都合・意欲低下などの傾向を月次で振り返る
- 体調変化の兆候を早期にキャッチし、ケアマネジャーや家族と連携する
- 入院された利用者について、退院後も再度利用いただけるようフォローの連絡を入れる
- 送迎エリアや時間帯の融通を、無理のない範囲で見直す
こうした対策は地味に見えますが、新規獲得よりも取り組みやすく、効果を実感しやすい領域です。欠席や利用中止を防ぐことができれば、稼働率の底上げが期待できます。
曜日別の空き状況を見える化してケアマネと共有する
新規獲得と継続利用対策の両方に共通して効くのが、曜日別の空き状況を見える化することです。月曜は空きが多いが金曜は満床、といった偏りは、日々の運営の中では意外と気づきにくいものです。
- 曜日別の空き枠を週次または月次でスプレッドシート化する
- 空きが目立つ曜日を明確にしたうえで、ケアマネジャーへ定期的に共有する
- ホームページやお知らせ欄にも、大まかな空き状況の目安を掲載しておく
私の経験では、口頭での「今は空いています」という情報提供だけでは、ケアマネジャーの記憶に残りにくいと感じます。空き状況を表やグラフで定期的に届けることで、紹介のタイミングで思い出してもらいやすくなる可能性があります。Web上での情報整備は、あくまでこうした地道な情報提供を補う位置づけとして考えると無理がありません。ホームページの基本的な整え方はデイサービスのホームページの作り方でも解説しています。
まとめ|稼働率は「集める」だけでなく「守る」指標
デイサービスの稼働率を上げるための考え方を整理してきました。
- 稼働率は定員×営業日数に対する実利用の割合で決まる経営指標であり、他施設の水準よりも自施設の推移を見ることが大切
- 稼働率が下がる要因は新規獲得不足だけでなく、利用中止・長期欠席・曜日偏りにも分解して捉える
- 新規獲得(ケアマネへの情報提供・ホームページ整備)と、継続利用・欠席対策の両輪で取り組む
- 曜日別の空き状況を見える化し、ケアマネジャーへの定期的な共有につなげる
稼働率の改善は、どこか一箇所を直せば数値目標が達成できるというものではなく、複数の要因を地道に整えていく積み重ねです。自施設のどこに改善余地があるか内部だけでは気づきにくいという場合は、
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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