「病院のホームページ、開院した頃からほとんど手を入れていない」——事務長さまや広報担当の方から、このようなお話を伺うことがあります。診療所と違い、病院は診療科の数が多く、部署ごとに情報の更新責任が分かれているため、気づけば何年も放置されたページが残っていることが珍しくありません。この記事では、病院のホームページが古いままだと患者さま・紹介元・求職者からどう見えているのかを整理し、特に更新が滞りやすい情報と、組織として更新体制を作る考え方をご紹介します。
病院のホームページが古いまま放置されると、誰にどう見えているか
病院のホームページには、クリニックよりも多くの立場の人がアクセスします。それぞれが古い情報から受け取る印象は異なります。
外来を受診しようとする患者さまは、診療科・外来担当医表・受付時間を確認してから来院を決めます。担当医表が数か月前のまま更新されていないと、実際には診療していない曜日に来院してしまう、来院後に担当医が変わっていることに気づく、といったことが起こり得ます。
病院は患者さま個人だけでなく、地域の診療所やケアマネジャーからの紹介によっても患者さまを迎えます。紹介する側は、対応可能な検査・処置の範囲や連携窓口をホームページで確認してから紹介状を書くことが少なくありません。情報が古いままだと、実際には対応していない科に紹介してしまう、連携窓口の電話番号が変わっていて連絡が取れない、といった実害につながります。
看護師やコメディカルの求職者、実習を控えた学生も、応募・実習前にホームページを確認します。採用情報が数年前の募集要項のまま止まっている、職員紹介のページに退職した職員が残っているといった状態は、組織としての管理体制への不安につながりかねません。
私自身、病院に勤務していた頃、実習生や新人職員から「ホームページで見た情報と実際が違っていて戸惑った」という声を聞いたことが何度かあります。現場では当たり前に更新されている情報でも、外部に発信するホームページには反映されていない——このズレは、部署が多い病院ほど起こりやすいと感じています。
特に更新が滞りやすく、実害につながりやすい情報
病院のホームページには、更新が滞ると実害につながりやすい情報がいくつかあります。
- 外来担当医表:曜日・医師の変更が頻繁にあり、最も更新が追いつきにくい情報の一つです
- 面会ルール:感染症の流行状況などによって変更されることがあり、古い情報のままだと来院時にトラブルの原因になります
- 救急対応の可否・時間帯:夜間・休日の受け入れ体制は判断材料として重要度が高く、正確性が特に求められます
- 部門・診療科の新設・休止情報:診療科の増減や医師の異動があった場合、トップ・診療案内・担当医表など関連する複数ページを同時に直す必要があります
これらは、患者さまだけでなく紹介元にとっても重要な判断材料になる情報です。デザインの古さよりも、こうした事実情報の陳腐化のほうを優先して手を入れるべき課題と捉えておくとよいでしょう。
なお、ホームページに掲載する情報は医療広告ガイドラインの対象でもあります。病院のホームページも「広告」として扱われ、誇大な表現や根拠のない比較優良表現は規制の対象になります。また、患者等の主観や伝聞に基づく、治療内容や効果に関する体験談は掲載できません。情報を更新する際は、正確性とあわせてガイドラインの範囲内かどうかも確認しておくと安心です。詳しくは医療広告ガイドラインとホームページの注意点をご覧ください。
病院で更新体制をつくる考え方
病院のホームページが古くなりやすい背景には、更新の担当が一人に集中している、あるいは逆に誰の役割か決まっていない、という体制面の課題があります。診療科ごとに情報を持つ担当者が異なるため、院長一人が更新を判断できるクリニックとは事情が異なります。
更新体制を作る際は、次のような点を決めておくと運用がしやすくなります。
- 部署ごとの情報担当を決める:診療科の情報は各科、採用情報は人事・総務、施設全体の告知は広報など、誰がどの情報の一次情報源かを明確にする
- 更新の窓口を一本化する:各部署から集まった修正依頼を、実際にサイトへ反映する担当(院内担当者または外部の制作会社)を一箇所に決める
- 定期確認のタイミングを決める:異動・診療体制の変更が多い時期(年度替わり等)にあわせて、全ページを見直す機会を設ける
- 緊急性の高い情報は即日反映のルールにする:面会ルールの変更や救急受け入れの停止など、翌日以降では困る情報は優先度を分けて運用する
このうち、意外と後回しにされがちなのが2番目の「窓口の一本化」です。部署ごとに直接ホームページを更新できる仕組みがない病院では、修正依頼がどこかで止まってしまい、気づいたときには数か月放置されている、ということが起こりがちです。
作り直すか、部分改修で足りるか
ホームページが古いと感じたときも、必ずしも全面的な作り直しが必要とは限りません。次のような視点で切り分けると判断しやすくなります。
- 情報が古いだけで、構成やデザインには大きな不満がない場合は、該当ページの部分的な更新・改修で対応できることが多い
- スマートフォンで見づらい、デザインが著しく古い、院内で更新できる仕組みがない場合は、全面リニューアルを検討する時期
- 診療科の増減や病院の統合など、組織の構造自体が変わった場合は、情報設計から見直す全面リニューアルが必要になりやすい
いずれの場合も、着手前に「何のために直すのか」(患者さまの利便性向上か、採用強化か、紹介元との連携強化か)を明確にしておくことが、限られた予算と時間を有効に使う近道です。制作会社に依頼する場合の選び方については、医療・介護のホームページ業者の選び方でも解説していますので、あわせてご確認ください。
まとめ
- 病院のホームページは、患者さまだけでなく紹介元・求職者・実習生も見ています
- 外来担当医表・面会ルール・救急対応など、更新が滞ると実害につながる情報があります
- 診療科ごとに情報が分散しやすい病院では、更新の窓口を一本化する体制づくりが鍵になります
- 古さの正体が「情報の陳腐化」か「構造自体の古さ」かによって、部分改修と全面リニューアルのどちらを選ぶかが変わります
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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