「求人サイトに掲載しているのに、訪問看護の求人に応募が来ない」。訪問看護ステーションの管理者さまから、こうしたご相談をよくいただきます。デイサービスや訪問介護の採用と根本的に違うのは、応募してくる看護師の多くが病棟や外来からの転職者だという点です。病棟看護師にとって訪問看護への転職は、オンコール対応や一人での訪問、車の運転、幅広い看護技術への不安を伴う大きな決断であり、求人票の情報だけではその不安に答えられていないことが、応募が来ない理由の中心にあります。この記事では、訪問看護特有の採用の難しさと、求人票・自社サイトでの伝え方を、医療介護の現場を20年以上歩いてきた作業療法士の視点で解説します。

訪問看護の求人に応募が来ない理由は「転職者特有の不安」への回答不足

介護職全般の応募が来ない理由については、有効求人倍率の高さという業界構造の側面が大きく関わっています。

一方で訪問看護は、応募者の顔ぶれがやや異なります。新卒でいきなり訪問看護を選ぶ看護師はまだ少数派で、応募してくるのは病棟や外来で数年以上の経験を積んだ看護師が中心です。つまり訪問看護の採用でまず考えるべきは「介護職全体の人材不足」以上に、病棟から訪問看護へ移ることへの心理的なハードルをどう下げるかという問題です。

求人票に「経験者優遇」「未経験可」とだけ書いても、具体的な不安には触れていません。そこにこそ、訪問看護の求人に応募が来ない理由が隠れています。

病棟看護師が転職時に感じる4つの不安

私自身、作業療法士として訪問リハビリの現場に立った経験があります。訪問という働き方が、病院や施設の中で完結する働き方とはまったく違う緊張感を伴うことを、身をもって知っています。病棟看護師が訪問看護への転職を検討するとき、頭に浮かぶ不安はおおむね次の4つに集約されます。

不安の種類 具体的な中身
オンコール対応 夜間・休日に一人で判断を迫られることへの不安
単独訪問 病棟のようにすぐ相談できる同僚が隣にいない不安
車の運転 ペーパードライバーや、慣れない道・天候への不安
看護技術の幅 小児から看取りまで、専門外の領域にも対応する不安

病棟であれば、担当科の疾患を中心に、医師や先輩看護師にすぐ相談できる環境があります。ところが訪問看護では、利用者の年代も疾患も一人ひとり異なり、判断のほとんどを訪問先で自分自身が下すことになります。この「一人で判断する」働き方の変化こそが、転職をためらわせる最大の要因だと感じています。

「未経験可」だけでは不安は消えない

求人票によく見られる「訪問看護未経験の方も歓迎」「ブランクのある方も安心」という一文は、決して間違いではありません。ただし、こうした言葉だけでは、看護師が抱く具体的な疑問には答えられていません。

応募を検討している看護師が実際に知りたいのは、次のようなもっと踏み込んだ情報です。

  • 一人で訪問できるようになるまで、どれくらいの期間・件数の同行があるのか
  • オンコールは何人体制で、実際に呼ばれる頻度はどの程度か
  • 車の運転に不安がある場合、どのようなフォローがあるか
  • 対応する利用者の年代や疾患の幅は、どのくらい広いのか

これらの疑問に答えのないまま「未経験可」とだけ書かれていると、看護師は「聞いてみないとわからない」状態のまま、応募という一歩を踏み出せずに離脱してしまいます。不安の中身を先回りして言葉にしておくことが、応募につながる最初の一歩です。

教育体制・同行訪問期間・オンコール実態をどう見せるか

先ほどの4つの不安に対応する形で、採用ページに載せておきたい情報を整理すると、次のようになります。

項目 見せ方の例
同行訪問期間 「入職後◯ヶ月・◯件程度は先輩と同行」など具体的な目安
オンコール体制 輪番制か管理者中心か、月あたりの呼び出し件数の目安、相談できる体制の有無
車について 社用車の有無、ガソリン代・車両手当の支給、運転が苦手な方へのフォロー
対応領域の幅 小児から看取りまでのうち、どの領域を中心に担当することが多いか

数字や体制を具体的に示すことは、必ず応募につながることを保証するものではありませんが、不安を先に解消しておく材料にはなります。特にオンコール体制は誇張せず、ありのままを伝えることが信頼につながります。実態と異なる表現は、入職後のミスマッチや早期離職につながりかねない点にも注意が必要です。

求人票と自社サイト採用ページの役割分担

訪問看護の求人に応募が来ない理由を解消するうえで、もう一つ整理しておきたいのが、求人票と自社サイトの役割の違いです。

求人サイトやハローワークの求人票は、文字数やフォーマットに制限があり、給与・勤務時間・休日といった条件面が中心にならざるを得ません。同行訪問の期間やオンコールの実態まで詳しく書き込むスペースは、そもそも用意されていないことがほとんどです。

一方、自社サイトの採用ページにはこうした制約がありません。同行訪問のスケジュール例、オンコールの実際の声、スタッフ紹介など、求人票には書ききれない「働くイメージ」を、写真や具体的なエピソードとともに伝えられます。ホームページ全体の作り方は訪問看護のホームページの作り方でも整理していますので、あわせてご覧ください。

そして忘れてはならないのが、看護師は応募ボタンを押す前に、必ず事業所名で検索しているという行動です。検索した先に採用ページがない、あるいは求人票と変わらない内容だと、興味を持った応募者を一歩手前で取りこぼしてしまう可能性があります。

まとめ|求人票の外で、転職の不安に先回りして答える

訪問看護の求人に応募が来ない理由について、病棟看護師が抱く転職不安という切り口から整理してきました。

  • 訪問看護の応募者は病棟・外来からの転職者が中心で、介護職全体とは異なる不安を抱えている
  • オンコール・単独訪問・車の運転・看護技術の幅という4つの不安に、求人票は答えきれていない
  • 「未経験可」だけでなく、同行訪問期間やオンコールの実態を具体的に見せることが重要
  • 求人票は条件、自社サイトは働くイメージを伝える場として役割分担する
  • 応募前に事業所名で検索されることを前提に、自社サイトの採用ページを整えておく必要がある

とはいえ、自施設の採用ページに何が足りないのかを客観的に判断するのは簡単ではありません。

まずは、無料のWeb診断から。

作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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