「ケアマネジャーへの挨拶回りをしているのに、なかなか紹介につながらない」。訪問看護ステーションの管理者さまから、よくご相談いただくお悩みです。
訪問看護の利用は、介護保険ではケアマネジャーが作成するケアプランに位置付けられることが多い一方、医療保険の訪問看護は主治医の指示書に基づいて開始されるため、経路は一つではありません。いずれの場合も、最終的に選ぶのはご本人です。とはいえ、営業活動の中心は、利用者に直接アプローチすることではなく、ケアマネジャーに「この事業所なら安心して任せられる」と感じていただくことにあります。
この記事では、訪問前の準備・訪問時に伝えるべきこと・訪問後のフォローという時系列に沿って、医療介護の現場を20年以上歩いてきた作業療法士の視点で、営業のポイントを解説します。
なぜ「一度の訪問」では選ばれないのか
ケアマネジャーは日々、複数の訪問看護ステーションや医療機関と接点を持っています。1回の挨拶で名前を覚えてもらえたとしても、実際にケアプランへ組み込むかどうかは、そこから先の情報の積み重ねで決まっていきます。
ケアマネジャーが訪問看護を紹介する際に気にしているのは、主に次の3点です。
- 対応できるエリアと空き状況(すぐに動けるか)
- 対応可能な医療処置・疾患(利用者の状態に合うか)
- 緊急時の連絡体制(何かあったときに頼れるか)
この3点が曖昧なまま「よろしくお願いします」とだけ伝えても、ケアマネジャーの側では判断材料が足りません。営業を「回数」で考えるのではなく、訪問のたびに判断材料を1つずつ増やしていくという発想に切り替えることが、遠回りに見えて近道になります。
訪問前の準備|持っていく資料と確認しておくこと
訪問前に、次の3点を整えておくと、限られた面談時間を有効に使えます。
- パンフレット・対応可能エリア一覧 — 地図や表で一目で分かる形にしておく
- 対応可能な医療処置・疾患のリスト — 「精神科対応可」「小児対応可」など、判断に直結する情報を明記
- 現在の空き状況の目安 — 「今週なら1件受け入れ可能」など、具体的な情報があると検討が進みやすい
初回訪問では長時間の説明を試みるより、1〜2分で読める資料を渡し、要点だけを口頭で補足する方が、忙しいケアマネジャーの負担になりません。名刺交換だけで終わってしまっても、資料が手元に残ることで、次に紹介先を検討する際の候補に入りやすくなります。
訪問時に伝えたいこと|挨拶から始まる信頼関係
私が病院でリハビリ職として働いていた頃、退院前カンファレンスに同席したケアマネジャーが、初めて名刺交換した訪問看護師の受け答えの丁寧さや質問への答え方だけで、「この事業所にお願いしてみよう」と判断している場面を何度も見てきました。ケアマネジャーは短い会話の中で、実際に利用者やご家族と接したときの対応を想像しながら聞いています。
訪問時に意識したいのは、次の点です。
- 自己紹介は簡潔に、事業所の強み(対応エリア・体制)を先に伝える
- 「何かご紹介いただけそうな方はいらっしゃいますか」と一方的に聞くのではなく、まず「どんな相談が多いですか」と相手の状況を尋ねる
- その場で答えられない質問は、正直に「確認して折り返します」と伝える
このとき、効果を保証するような言い方は避け、事実に基づいた情報提供に徹することが大切です。「必ずご紹介が増えます」といった表現は使わず、対応できることとできないことを正直に伝える姿勢のほうが、長い目で見た信頼につながります。
訪問後のフォロー|一度で終わらせない関わり方
訪問後のフォローは、初回の印象を「継続的な安心感」に変えていく工程です。特別なことをする必要はなく、次のような積み重ねで十分です。
- お礼の連絡 — 訪問のお礼と、伝え忘れた情報の補足を兼ねて短く連絡する
- 状況の更新 — 空き状況やスタッフ体制に変化があったタイミングで、簡潔に知らせる
- 紹介いただいた利用者の経過報告 — 利用契約や重要事項説明で定めた範囲内で、ご本人・ご家族の同意を得たうえで、ケア連携に必要な最小限の経過を共有します。営業目的に転用するものではなく、紹介の増加を保証するものでもありません
- 定期的な再訪問 — 半年に一度など、無理のない頻度で顔を合わせる機会を作る
なお、紹介の見返りとして金品や物品を提供するような対応は、運営基準上も適切ではありません。フォローの軸はあくまで情報提供と信頼の積み重ねに置くことが基本です。
ホームページや情報発信との連動
訪問営業だけでは、伝えられる情報の量にも頻度にも限りがあります。ケアマネジャーは訪問を受けたあと、事業所名で検索して情報を確認することが少なくありません。このとき、対応エリアや医療処置の対応可否、スタッフ体制といった情報がホームページに整理されていれば、訪問時に伝えきれなかった内容を補うことができます。ホームページに載せるべき情報の整理方法は、訪問看護のホームページの作り方で詳しく解説しています。
また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の担当者は、Googleで施設名や「訪問看護 ○○市」といったキーワードで検索することもあります。Googleビジネスプロフィールを整備しておくと、営業で名刺交換ができていない担当者にも見つけてもらいやすくなります。設定方法は介護事業所のGoogleビジネスプロフィールをご参照ください。
訪問での対面のやり取りと、ホームページ・Googleビジネスプロフィールでの情報発信は、どちらか一方ではなく両輪で進めることで、紹介につながる可能性を広げていけます。
まとめ|営業は「1回」ではなく「積み重ね」
訪問看護のケアマネジャー営業について、訪問前・訪問時・訪問後の流れで見てきました。
- ケアマネジャーが知りたいのは「対応エリア」「対応可能な処置」「緊急時対応」の3点
- 訪問前は簡潔な資料と具体的な空き状況を用意しておく
- 訪問時は一方的な説明ではなく、相手の状況を聞く姿勢を大切にする
- 訪問後のお礼・経過報告・定期的な再訪問が、次の紹介につながる
- ホームページやGoogleビジネスプロフィールでの情報発信が、訪問営業を補完する
一度の訪問で結果を求めず、情報を少しずつ積み重ねていくことが、ケアマネジャーに選ばれる訪問看護ステーションへの近道です。
作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。
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