デイサービスへの営業でケアマネジャーが見ているもの

デイサービスがケアマネジャーへ営業をかける際、まず整理しておきたいのは「何を判断基準にされているか」です。訪問看護であれば、医療処置にどこまで対応できるかが最初の関門になります。一方でデイサービスの場合、ケアマネジャーが最初に確認しているのは、医療的な対応力よりも「ご本人が通い続けられそうか」という一点に近いのではないかと感じています。

通所の現場に関わっていた頃、ケアマネジャーの方から「この方、お風呂があまり好きではないようなのですが、無理のない入浴介助はしてもらえますか」「レクリエーションは賑やかな雰囲気ですか、それとも静かめですか」といった問い合わせを何度も受けました。送迎の対応エリアや到着時間の目安、入浴の進め方、レクリエーションの雰囲気、利用者層の年齢や介護度のばらつきなど、日々の通いやすさに直結する情報が、営業の場面でも重視されている印象です。

つまり、デイサービスへの営業で伝えるべきは、サービスの充実度そのものよりも「この方に合うかどうかを判断できる材料」ではないでしょうか。

空き状況を発信できているか

営業訪問の場で、ケアマネジャーが必ずと言ってよいほど尋ねるのが、曜日ごとの空き状況です。にもかかわらず、ホームページやパンフレットにこの情報が載っていない、あるいは載っていても更新が止まっている事業所を見かけることが少なくありません。

空き状況は次のような形で示しておくと、確認する側の負担が減ります。

  • 曜日別の空き枠の目安(〇、△、×程度の簡易表示でも構いません)
  • 更新日の明記(いつ時点の情報かが分かるようにする)
  • 空きがない場合の目安時期や、キャンセル待ちの可否

紹介の件数を保証できるものではありませんが、空き状況が事前に分かる事業所は、電話で一件ずつ確認する手間を減らせる分、検討の候補に挙がりやすくなると考えられます。逆に、営業訪問のたびに口頭で伝えるだけでは、その場限りの情報になってしまい、次に空きが出たタイミングで思い出してもらいにくくなります。

「合う人・合いにくい人」を書けているか

デイサービスの事業所案内を見ていると、対応できることばかりが並び、どのような方に向いているかが曖昧なケースが目立ちます。ケアマネジャーの立場からすると、「対応できます」という情報だけでは、実際にご本人が馴染めるかどうかまでは判断しきれません。

そこで参考になるのが、次のような書き方です。

  • 合いやすい傾向: 集団での活動を好まれる方、リハビリを中心に過ごしたい方、送迎時間に融通が利く方
  • 合いにくい傾向: 静かな環境を強く希望される方、医療処置が頻回に必要な方、当事業所の対応エリア外にお住まいの方

合わない可能性を先に伝えることは、営業として消極的に見えるかもしれません。しかし実際には、ミスマッチを事前に防げることが、ケアマネジャーからの信頼につながりやすいポイントだと感じています。利用開始後に「思っていたのと違った」という状況を避けられれば、その事業所は次回以降も相談先の候補として残りやすくなります。

訪問の頻度と持参物、そのあとに確認される流れ

営業訪問そのものについても、いくつか整理しておきたい点があります。頻度を上げることが紹介につながるとは限らず、居宅介護支援事業所ごとの状況に合わせて、無理のないペースで顔を合わせることが基本になります。訪問時に空き状況の最新版・パンフレット・見学案内といった資料を一式そろえて持参しておくと、その場で相談が完結しやすくなります。

そして見落とされがちなのが、訪問後の流れです。名刺やパンフレットを受け取ったケアマネジャーが、実際にご本人・ご家族へ提案する前に、事業所名で検索してホームページを確認するという行動は珍しくありません。訪問で口頭で伝えた内容と、ホームページに載っている情報がずれていると、それだけで信頼を損ねてしまいます。訪問資料とホームページの内容は、常に同じ状態にそろえておくことが大切です。

ケアマネジャーに選ばれる事業所全般の共通点については、ケアマネジャーに選ばれる事業所の共通点|情報の出し方でも詳しく触れています。あわせてご確認ください。

営業を「判断材料を渡すこと」と捉え直す

ここまで見てきたように、デイサービスの営業でケアマネジャーが求めているのは、売り込みの強さではなく、判断に使える具体的な情報です。空き状況・向き不向き・訪問後に確認できる情報が整っているほど、ケアマネジャーは短い時間でも検討しやすくなります。

営業を「利用者を増やすための働きかけ」ではなく「ケアマネジャーが判断するための材料を渡すこと」と捉え直すと、訪問時に何を持っていくべきか、ホームページに何を載せるべきかが自然と見えてきます。集客の考え方全体については、デイサービスの集客方法|現場20年のOTが解説でも整理していますので、あわせて参考にしていただければと思います。

まとめ|デイサービスのケアマネ営業は判断材料の提供から

デイサービスへの営業でケアマネジャーに選ばれるためのポイントを整理しました。

  • ケアマネジャーが見ているのは、医療対応力よりも「ご本人が通い続けられそうか」という点
  • 曜日別の空き状況を最新の状態で発信できているかが、検討の入り口になる
  • 「合う人・合いにくい人」を正直に伝えることが、ミスマッチ防止と信頼につながる
  • 訪問時の説明とホームページの内容をそろえておくことが、訪問後の確認で信頼を保つ鍵になる

営業訪問そのものを見直す前に、まずは自事業所のホームページや資料に、これらの判断材料が揃っているかを確認してみてはいかがでしょうか。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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