「うちは紹介だけで回っているから、ホームページなんて必要ない」。訪問介護やデイサービス、居宅介護支援など、小規模な介護事業所の経営者さまから、こうした本音をよく伺います。

実際、多くの介護事業所は今もケアマネジャーや地域の医療機関からの紹介で利用者が集まっています。それ自体は健全な状態です。ただ、介護事業所にホームページの必要性があるかどうかを考えるときに見落とされがちなのが、「紹介された後」に相手が何をしているかという視点です。この記事では、押し売りをするつもりはなく、必要ないケースにも触れながら、現実的な優先順位を整理します。

介護事業所にホームページの必要性はあるのか

紹介がメインの経営スタイルであっても、紹介する側・される側の双方が、連絡する前に検索して確認する時代になっています。

  • ご家族は事業所名で検索し、どんな雰囲気の場所なのかを確認してから連絡します
  • ケアマネジャーは、対応エリアや空き状況、対応可能なサービス内容を事前に調べようとします
  • 求職者は、応募する前に職場の様子を必ずチェックします

つまり、ホームページの必要性は「新規の利用者を集める広告」としてよりも、紹介された後の不安を減らす確認の場として発生しているケースが多いのです。紹介があるからいらない、というより、紹介があるからこそ、確認された時に情報がある状態にしておく意味がある、という順番で考えると実態に近くなります。

ホームページがない事業所に実際に起きていること

ホームページがない、あるいは何年も更新されていない介護事業所を検索すると、多くの場合、介護サービス情報公表システムの事務的な項目一覧だけが表示されます。住所や人員体制などの必須情報は確認できますが、どんな雰囲気のスタッフがいるのか、どんな考え方でケアをしているのかは伝わりません。

私は作業療法士として20年以上、病院や施設の現場に立ってきましたが、ご家族やケアマネジャーが次の依頼先を比較検討する場面を何度も見てきました。候補が複数あるとき、情報が少ない事業所は「聞かないと分からない」という理由だけで、比較の土俵にすら上がれず候補から静かに外れてしまうことがあります。求職者についても同様で、雰囲気の分からない職場への応募は、それだけで一段ハードルが上がる可能性があります。

SNSや無料の紹介ページだけで十分ではないか

ホームページの代わりにInstagramやFacebook、Googleビジネスプロフィールだけで足りるのではないか、という相談もよくいただきます。結論としては、目的によって向き不向きがあるというのが実際のところです。

手段 得意なこと 苦手なこと
SNS 日々の様子・雰囲気の発信 過去情報が埋もれる・体系的な情報整理
Googleビジネスプロフィール 地図検索での発見・口コミ サービス内容の詳しい説明
介護サービス情報公表システム 必須項目の公的な確認 事業所の雰囲気や考え方の発信
ホームページ 情報を体系的にまとめて常設できる 更新の手間がかかる

SNSやGoogleビジネスプロフィールは、更新のしやすさや発見されやすさという点で優れた無料の手段です。実際にGoogleビジネスプロフィールを活用したいという方は介護施設のGoogleビジネスプロフィール活用ガイドもあわせてご覧ください。一方で、サービス内容・料金の考え方・利用までの流れといった、じっくり読んでもらいたい情報を体系的に置いておく場所としては、ホームページに一日の長があります。

最低限これだけあればいい|1ページという現実的な選択肢

「本格的なホームページを何ページも作る余裕はない」という場合、実は1ページの構成でも十分に役割を果たせます。最低限そろえたい項目は次のとおりです。

  • 事業所の基本情報(名称・住所・電話番号・営業時間)
  • 対応エリアとサービス内容(対応可否がひと目で分かること)
  • スタッフの雰囲気が伝わる一言・写真
  • 利用までの簡単な流れ
  • 問い合わせ導線(電話・フォーム)

大掛かりな制作を前提にせず、まず1ページで「確認された時に困らない状態」をつくることが、多くの小規模事業所にとって現実的な最初の一歩になります。ページを増やすかどうかは、その後の反応を見ながら判断しても遅くはありません。

実は「今は不要」なケースもある

ここまでホームページの必要性を述べてきましたが、すべての介護事業所に今すぐ必要というわけではありません。たとえば、既に受け入れ枠がほぼ埋まっていて新規の相談を積極的には受けられない状況にある事業所や、極めて限られた地域内の顔の見える関係だけで運営が完結している事業所では、優先順位は下がります。

無理に整えるよりも、今の運営状況で本当に困っていることは何かを先に確認するほうが、遠回りに見えて確実です。ホームページはあくまで手段であり、目的ではありません。

まとめ|優先順位は「困っていること」から決める

介護事業所にホームページの必要性があるかどうかは、規模や運営スタイルによって答えが変わります。

  • 紹介中心の運営でも、確認される場面は増えている
  • ない場合、比較検討での候補落ちや求職者の不安につながる可能性がある
  • SNSや無料ツールにも得意分野があり、使い分けが現実的
  • 1ページからでも「困らない状態」はつくれる
  • 受け入れ状況によっては、今は不要という判断もあり得る

自分の事業所にとって、今どの優先順位で考えるべきかを一人で判断するのは難しいものです。

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作業療法士として20年以上、医療介護の現場を歩いた専門家が、貴施設のホームページを拝見し、改善ポイントを3つに絞ってお伝えします。契約義務はありません。

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佐伯 昭宏
作業療法士 / BIND THREE 代表

作業療法士として20年以上、病院・介護施設の現場に携わる。現場経験とWeb制作の両面から、医療・介護施設の「伝わるWeb」づくりを支援。採用代行・人材紹介ではなく、Web上の情報整理・改善に特化。

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